株式会社 北海道気象技術センターは、このたび気象庁より気象業務法に基づく民間事業者による洪水予報業務の許可を取得いたしました (2024年12月20日付)。北海道で培った水文予測・観測技術を活かし、より豊かで安全・安心な生活を守るため、信頼のおける降雨・水位の予測情報の発信に努めてまいります。
はじめに
2023年11月30日に気象業務法および水防法の一部改正が施行され、予報業務許可を受けた民間事業者であれば洪水予報を実施できるようになりました。弊社では、中小河川の洪水対策に資する情報として降雨・水位予測システム(サービス名:HowCast)を開発し、このたびの認可により河川管理者や防災関係者等に洪水予報に関する情報提供が可能となりました。
洪水予測システム HowCast の概要
本洪水予測システム HowCast は、7日間先まで高精度で河川水位と流域に降る雨の量を予測するシステムです。長いリードタイムを活用して、余裕をもった流域管理・水防活動・避難判断にお役立ていただけます。下のグラフは HowCast が提供する降雨・水位予測情報の WEB ブラウザ画面です。パソコンやスマートフォンから、いつでも、どこでも、素早く、過去・現在と今後の水位変動および降雨の様子を確認できます。
近年は地球温暖化の進行に伴う気候変動によって、ゲリラ豪雨や線状降水帯のような極端な気象現象の頻度や強度が増加しており、今後さらにその威力は増すだろうと予想されています。こうした影響は特に、市街地化が進む都市部の中小河川で顕著に現れており、毎年のように全国のどこかで河川の氾濫が発生し、甚大な被害が報じられることが増えています。そのような洪水被害も、より確度の高い降雨と河川水位の予測が可能となれば、軽減させることができます。HowCast では、急な天気の変化にも対応できるよう、1時間先までは10分単位で、18時間先までは30分単位で予報を行い、10分ごとに予測の情報が更新されます。
今後の展望
気象業務法及び水防法の一部を改正する法律が施行され、民間事業者が洪水予報できるようになってから早くも1年が経過しました。その間にも自然災害はとどまることを知らず、2024年1月1日の能登半島地震にはじまり、さらに再び9月に能登地方で線状降水帯による豪雨災害が発生し、未曾有の洪水被害が広がるなど、厳しい年となりました。今後もこのような豪雨災害の頻度は増加することが見込まれ、社会的ニーズに応え、洪水予報ができる民間事業者の数も増えることでしょう。こうした社会的要請が端緒となり、これまではあまり身近に感じられなかった洪水予報も、社会の中でより身近な存在になるかもしれません。HowCast は利用者数の増加を目指すとともに、本洪水予報が多くの住民や企業の方々に届けられる身近な存在となるよう努力を続けたいと考えております。
【予報業務の許可事業者一覧(火山現象・津波・高潮・洪水)】
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/minkan/minkan_sonota.html
【予報業務の許可事業者一覧(気象・地象(地震動、火山現象及び土砂崩れを除く))】